神話の地に立つ、格式高い神社「高千穂神社」

宮崎県高千穂町にある「高千穂神社」は、天孫降臨の地として知られる神秘的なエリアに鎮座しています。
私が訪れたのはゴールデンウィーク中ということもあり、広めの駐車場も多くの車で賑わっていました。
しかし、一歩鳥居をくぐると空気は一変。静かで神聖な空気が漂い、背筋が自然と伸びるような感覚を覚えました。
主祭神は「高千穂皇神」。七五三の起源に触れるしめ縄

高千穂神社の主祭神は「高千穂皇神(たかちほすめがみ)」。
この地に縁のある神々を数多く祀っており、境内には神話の世界観を感じられる細やかな意匠が散りばめられています。
特に興味深かったのが、この地域独特の「しめ縄」文化。
高千穂ではしめ縄から「しめ(紙垂)」が7本、5本、3本と垂れていて、それぞれ
- 天神七代
- 地神五代
- 日向三代
を象徴しています。
これは、神様の代々の系譜を表していると同時に、「子どもたちも神様のように活躍できますように」という願いが込められているのだそうです。
そしてこれが、七五三の由来とされているというのはとても興味深いエピソードでした。
ご利益に満ちた「夫婦杉」と立派な御神木「秩父杉」
境内で特に目を引いたのが、2本の杉が根元でつながっている「夫婦杉」。
この木の周囲を手をつないで3周まわると、家庭円満・家内安全・無病息災・子宝祈願など、さまざまなご利益があるとされています。
ただし…ひとつ注意点が。木の根につまずくとご利益が消えてしまうとのことで、足元をしっかり見て歩きましょう。
また、もうひとつの見どころは、堂々とした佇まいの「秩父杉」。
その幹の太さと高さに圧倒され、まるで神々の存在を身近に感じるような静謐さがあります。
狛犬や彫刻にも神話のストーリーが宿る

狛犬に秘められた「親子の祈り」
高千穂神社の境内にある狛犬は、よく見ると珍しく子どもを抱いている姿をしています。
これは非常に珍しい造形で、全国的にもあまり例がありません。
子どもを抱く親の姿をかたどったこの狛犬には、家族の繁栄や子どもの健やかな成長を願う気持ちが込められていると言われています。
参拝時には、ぜひ狛犬の表情や足元までじっくり観察してみてください。
その細やかさや温かさから、この地の人々の信仰心と願いが今も息づいていることが伝わってきます。
鬼退治の神話が宿る彫刻「鬼八と三毛入野命」
さらに境内には、神話にまつわる力強い物語を描いた彫刻もあります。
特に印象的なのが、三毛入野命(みけいりのみこと)が鬼八(きはち)という鬼を退治している場面を表した彫刻です。
この鬼八は、高千穂地方に悪さを働いていたと伝わる存在で、神武天皇の兄にあたる三毛入野命が退治したという伝説が残されています。
高千穂神社はこの神話に深く関わりがあるため、こうした彫刻が大切に残されているのです。
迫力あるこの場面からは、神々の力や正義の象徴としての神話の世界観が伝わってきます。
単なる装飾ではなく、神話を後世に伝えるメッセージとしての意味合いが強いことが感じられる部分です。

このように、高千穂神社では建築や装飾のひとつひとつに神話と信仰が息づいており、歴史の重みとロマンを肌で感じることができます。
訪れた際は、見過ごしがちなディテールにもぜひ目を向けてみてください。
高千穂神社の御朱印
高千穂神社の御朱印がこちら。
神社名「高千穂神社」の墨書きと朱印が押されており、シンプルながら凛とした力強さが感じられます。
日付もその場で記入していただけるため、参拝の証として非常に記憶に残る御朱印です。
御朱印帳を持参していればその場で記入していただけますが、持っていない方でも高千穂神社オリジナルの御朱印帳もあるので、旅の記念にいかがですか?
少し遠くても、行って良かったと思える神社

正直、アクセスは少し大変でしたが、それでも「来て良かった」と素直に思える神社です。
鳥居をくぐった瞬間の空気の変化、由緒ある神話の解釈、自然と神聖さが溶け合う空間——すべてが心に残る体験となりました。
これから訪れる方は、ぜひ季節や天気にも注目して、時間に余裕を持ってゆっくりと過ごしてみてください。
高千穂の自然と神話が、静かに語りかけてくれるはずです。